慢性化とは?
急に痛くなったり、痛くなっても短期間で治る痛みは急性症状や急性の痛みといわれます。痛みが出てから1~3ヵ月以上続く痛みは慢性症状、慢性の痛みといわれます。急性症状は、痛みが出た時にしっかり対処していれば治ることが多いですが、痛みが出た時にそのうち治るだろうと放置したりすると急性の時よりは痛みがましになっても鈍い痛みが残って慢性化することがあります。
痛みを起こす物質とは
人間は 痛みを感じると、交感神経のが過剰に反応します。すると、血管が収縮し筋肉が緊張してきます。筋肉が硬くなると、血流が悪くなり、痛みを起こす物質が発生するといわれています。通常は、痛みを感じても、交感神経の反応はすぐに鎮まり、血流も改善されて、痛みが治まります。しかし、適切な対処をせずに痛みが続くと、血流も長い間悪くなり痛みを起こす物質も発生し続けることになります。痛みを起こす物質があると血管は収縮するため、さらに血流も悪くなるという負の連鎖を引き起こしてしまいます。
また、痛みが慢性化すると、明らかな原因がなくても痛みが出続けるようになっていきます。痛みが続くと肉体的ストレスだけではなく精神的ストレスも蓄積されるようになり、不眠、不安感、うつ状態などにつながっていきます。ますます負の連鎖の悪循環に陥ることもあります。 痛みを放置し続けてストレスが蓄積されると、痛みを抑える神経の力が弱くなり、痛みが慢性化するといわれています。
ストレスの蓄積が慢性痛をこじらせる
ぶつけたり捻ったりして痛めた急性症状であれば、原因は明らかですので同じところをぶつけたりしなければ患部のみの施術で改善しますが、慢性症状は原因が明らかではないことが多いため、患部のみ施術をすればよくなるというものではありません。また、慢性痛は放置すればするほど改善が難しくなってしまう場合が多くなります。
慢性痛は、鈍い痛みが良くなったり悪くなったりして繰り返したり、同じような痛みが毎日続いたりします。痛み止めやシップを張ったり、痛みによって夜もあまり眠れなくなったり、うつ状態になり仕事の集中力が低下することで精神的なストレスが蓄積していったりします。
痛みで悩まされていることは周りの人にはわかりにくいものであるためさらなるにストレスの蓄積につながることもあります。このような目に見えない負担の蓄積で、症状はさらに慢性化し、それと同時に日常生活のストレスという悪循環に陥ってしまうことがあります。慢性痛の原因は痛みを感じる何か月、何年も前から始まっていることが多いです。
長引く慢性痛は、痛いところだけを施術したり、施術だけを受けるために通院だけをしていても症状を改善するのは難しくなります。慢性化させている日常生活のストレスを一つひとつ改善していかなければいけません。精神と身体のストレス、両方にアプローチしていく必要があります。
ヘルニアも慢性痛?
腰や脚に痛みやしびれが急に出て整形外科に行ってレントゲンやMRIの検査をすると、ヘルニアが見つかることがあります。急に症状が出るとぎっくり腰と間違えたりすることもあります。交通事故の衝撃や重いものを持ってなどでヘルニアになると原因はわかりますが、心当たりがないのにヘルニアになることがあります。
それは日常生活の椎間板に繰り返しのストレスがかかっているからです。椎間板のストレスというと重いものを持ったりなどを想像されると思います。しかし、重いものを持ったりあまりしない方でもヘルニアになることがあります。日常生活でのヘルニアは慢性痛になっている人が少なくありません。
内科的疾患を除いて、慢性的な不調、原因のよくわからない痛みやしびれの9割は日常のどのような立ち方、座り方、歩き方、寝方、身体の使い方などの何気ないクセと積み重ねから来ます。例えば脚を組んだりする癖があると一回脚を組んだくらいでは何も起こりませんが毎日やっていると偏った負担が蓄積されていきます。
歩き方が悪いと5000歩一日に歩く人でしたら片足に毎日2500回負担がかかることになります。その積み重ねから身体がゆがみ、筋肉が緊張し、神経の流れが乱れ痛みや不調が出ます。施術だけを受けていても同じような生活習慣を続けていたら一時的に良くなってもまた繰り返します。
慢性腰痛は腸腰筋が重要
腸腰筋とは?
腸腰筋は抗重力筋の一つで上半身と下半身をつなぐ筋肉です。腰の骨から骨盤の前を通り太ももの骨につく筋肉で大腰筋といいます。途中で骨盤から太ももの骨につく腸骨筋と一緒になり、2つの筋肉を合わせて腸腰筋と呼ばれます。体幹の深部にある筋肉なので、インナーマッスルにも分類されます。
腸腰筋の働き
股関節を屈曲させる(脚を持ち上げる)
歩く時に脚を前だしたり、階段を昇る時や走る時に脚を持ち上げたりするときに使われ、ちょっとした段差で躓く方は腸腰筋が衰えているかもしれません。
姿勢を支える
腰の骨から脚の骨まである筋肉なので股関節、骨盤、腰の骨を安定させ姿勢を支えています。座ると猫背になる方は腸腰筋が衰えているかもしれません。
腰痛やメタボの原因にも
腸腰筋は上半身と下半身をつなぎ、姿勢保持や足を持ち上げる役割があります。この筋肉が硬くなったり衰えると身体全体の動きに制限が出るため腰痛も慢性化しやすくなります。
また、骨盤の前傾や後傾などの傾きを維持させる腸腰筋が衰えると、反り腰やおなかがたるみやすくなり、ポッコリお腹につながります。良い姿勢を維持するために必要な働きがあります。
慢性痛が片側に出る
肩や腰や膝などの不調の症状が、何をした覚えもないのに右か左の片側に出やすいということはありませんか?それにはさまざまな原因が考えられますが、その原因は普段の立ち方、座り方、寝方などの姿勢やクセ、利き腕、よく使う、よく物を持つなどの積み重ねで起こることが多いです。これらの要因によって、身体のバランスが崩れ、左右の筋力や柔軟性に左右差がでたり、負担が一方に蓄積されて片側の不調としてあらわれてきます。
慢性化に対する整体の効果
慢性化した症状に対して整体は効果的です。慢性化している人は日常生活の積み重ねで身体が硬くなったり、バランスが崩れたりしていることが多く、慢性化の一つの原因を改善していくことができます。整体を受ける事で身体の硬さの緩和、身体のバランスが崩れることでの負担を軽減することが期待できます。
1回では効果が出ない
しかし、色々な所で施術を受けたけどすぐ元に戻ってしまう。そんな経験がありませんか?1回の施術で楽に生活できればと思われるかもしれませんが、こういった事は特に慢性的な症状の人は仕方がないことです。整体を受けた直後は体が軽く感じると思いますが、その状態がずっと続くわけではありません。特に通い始めは戻りやすくなっています。
それは長年の悪い癖が関わっています。
背筋を伸ばして姿勢を良くしようとしても、すぐに元に戻されてしまうのは、体の動かし方や座り姿勢、立ち姿勢など普段の状態を筋肉が記憶しているためです。不良姿勢を記憶している筋肉は歪んだ状態で記憶されています。
慢性症状は通院が必要
当院の整体では歪んだ状態を正しい状態に矯正しますが、長年の悪い筋肉の癖が元の歪んだ状態へと戻してしまいます。歪みが完全に戻りきる前に次の施術を受ける必要があります。この長年の悪い癖が改善されるまでの期間は個人差がありますが、身体が入れ替わるまで3ヶ月は必要です。
毎日の生活習慣はとても重要です。
どんなに整体で体を良い方向に導いても、不良姿勢など、無意識にやっている生活習慣が現在の体を作っています。どんなに施術で良い方向に体を導いても悪い生活習慣をつづけていたら、症状が改善されるわけありません。だからこそ生活習慣も正していかなければ通っている時は良くなっても離れると戻ってしまいます。まずは少しずつ生活習慣を改めることから始めてみましょう。
改善していくには
1,姿勢や体の使い方の見直し
デスクワークの姿勢、家でソファーで休んでいるときの姿勢、立っているときの姿勢、などの負担が毎日蓄積されてストレスが蓄積されていきます。日頃ご自身では当たり前になっている姿勢や身体の使い方が、慢性痛の原因になっていることがあります。
2,体重管理
体重が増えるとそれだけ肉体的ストレスが掛かります。慢性痛を改善するのに食生活も大切です。暴飲暴食などで脂肪がいっぱいついてしまうと身体に重りをつけて生活しているのと同じでそれだけ身体に負担がかかってきます。筋肉や関節に疲労が蓄積して痛みを慢性化させます。
逆に過度なダイエットなどで栄養不足になったり、痩せすぎていても悪影響を与えます。食欲を我慢するというのも精神ストレスになりますし、栄養不足になり筋力が落ちるとそれだけ身体にも負担がかかります。バランスの良い食生活で太りすぎず、痩せすぎず体型を維持することが、慢性痛の改善にも関係してきます。
3,筋力をつける
重力に逆らって生活しているため、筋力が落ちると負担がかかります。原因の明らかな急性症状の場合は、安静にしたり、痛めたところを動かさないようにすることも必要です。しかし、慢性症状の場合は適度な運動も必要になります。安静にばかりしていると、筋肉が硬くなったり筋力が低下して、ますます慢性痛が長引いてしまいます。ウォーキングや症状があるところに負担をかけない筋トレおすすめです。
4,睡眠時間の確保
睡眠不足になると疲労が回復されず、負担が蓄積されていきます。睡眠は精神的ストレスに必要不可欠ですので、睡眠時間というのも大切です。睡眠不足だと肉体的ストレスの蓄積にもつながり、疲労も回復せず、慢性化しやすくなります。また、眠らないと精神的ストレスも解消しづらいため、寝る前にスマホを見たりなども気をつけましょう。
5,身体のケア
湯船に浸かると血行改善や、浮力により重力が軽くなるので筋肉だけではなく関節も休ませることができます。毎日の積み重ねで疲労の回復に差が出てきます。入浴後に身体が温かい状態でのストレッチも有効です。リラックスすることにより精神的ストレスの軽減につながります。
6、身体のバランスを整える
バランスが乱れていると良い姿勢を心がけても出来なかったり、筋トレをしてもバランスが崩れてしまいます。身体のバランスの乱れは施術で整えることができます。
筋トレするとストレスが軽減する
ストレスの原因は人間関係や暑さ・寒さの変化、生活・環境の変化が関係してきます。ストレスが溜まることで、「不眠による集中力の低下・頭痛」「疲労・痛みがとれなくなる」「食欲低下または増進による体重の増加・低下」「動悸・息苦しさ」など様々な悪影響が体に出てきます。
ストレスを軽減させる方法として
「趣味や好きなことをやる」「3食バランスよく栄養を摂る」「湯船に浸かる」などご自身のストレス解消法ができれば良いですが、ストレスが溜まりすぎてしまうと意欲が湧かなくなって、行動に移せなくなってしまいます。
筋トレが一番おススメ
筋トレをすることで筋力がついてくるだけでなく、セロトニン(幸せホルモン)というホルモンが分泌されてきます。このホルモンは、ホルモンバランスを安定させる働きがあるため、「寝る時には体を休める」「運動や仕事をする時に体を動かせるようにする、姿勢を整える」という身体的に安定をもたらします。
筋トレを続けていると
最初の頃よりも負荷を高められるようになったり、動きがよくなってできることが増えてきます。そうすると脳内では達成感を感じるため、ドーパミンという「これからも頑張ろう、高めていこう」と意欲を高めるホルモンが分泌されて、精神的に安定をもたらします。
ホルモンバランスが整うことで
ストレスを発散させようと運動したり、自分の好きなことや趣味をしようとする意欲が出てきます。いきなり筋トレをするのはハードルが高いと思いますのでウォーキングでもいいので運動をする習慣から始め徐々に筋トレなどをしていくのがいいでしょう。
まとめ
つまり日頃何気なくしている悪い姿勢や適度な運動をして体重を維持したりストレスを減らしたりする生活習慣の改善が慢性痛の改善や予防につながるということです。一般的な健康維持の生活と同じですが、様々な理由でそのような生活がなかなかできない、という方も当然いらっしゃると思います。しかし、そのままではいけないということも充分に理解されていらっしゃるのではないでしょうか。
当院では施術だけではなく痛くなった原因から改善できるよう、生活習慣のアドバイス、トレーニングのアドバイスも行っています。お困りの方は一度ご相談ください。