ある日突然心当たりもないのに発症する四十肩・五十肩。中には1年以上もお悩みの人もいるくらいです。突然発症するので急性のように感じたりもしますが、多くの場合は日常生活少しずつの負担が積み重なりある日突然、激痛を感じてしまいます。
四十肩・五十肩の始まりは何か月、何年前からの負担が蓄積された結果です。負担の積み重なり方は、自分でも気づかないような癖や身体の使い方がほとんどで、痛みを感じるまで気づかないことが多いです。
四十肩・五十肩とは
四十肩・五十肩という言葉はよく聞くと思いますが、40代の人が肩が痛くなったら四十肩、50代の人が肩が痛くなったら五十肩というイメージがあるのではないでしょうか。そのくらいの年齢の人によく起こるからそのような名前がついていますが実際に起こっている症状はどちらも同じです。正式には肩関節周囲炎といいます。肩関節の周囲に炎症が起こっている状態です。
しかし、肩が痛いからといってすべてが四十肩・五十肩というわけではありません。筋肉が損傷していると四十肩・五十肩ではなく腱板損傷と病院で診断されます。筋肉が切れていたりなど問題がないにもかかわらず痛みが発生していると肩関節周囲炎と診断されます。
四十肩・五十肩の原因
ぶつけたり、ひねったり、力を入れたり心当たりがないのに肩関節周囲で炎症が起きる原因は筋肉への負担の蓄積がほとんどです。筋肉への負担の蓄積の原因は日常の姿勢によるものが大きいです。当院に四十肩・五十肩で来院される方はすべてといっていいくらいストレートネック、巻き肩になっている方ばかりです。
ストレートネックから四十肩・五十肩
首の骨は本来横から見ると前にカーブを描いてといけないものですがこれが真っすぐになっている状態です。前にカーブを描くことにより頭の重さを分散させるクッションの働きをしていますが、スマホを下を向いてみたり前かがみ姿勢でデスクワークをしたりする生活習慣があるとカーブが失われクッション機能がなくなっていきます。すると首の筋肉に負担が蓄積し、そこから肩にも負担がかかるようになっていきます。
巻き肩から四十肩・五十肩
巻き肩は横から見ると肩の中央にある骨が耳の下に本来あるべきなのに前方に移動してしまっている状態です。肩が前方に移動すると肩甲骨は本来あるべき位置から外側に移動します。すると肩甲骨の動きも悪くなり肩に負担がかかるようになっていきます。
長年の負担の蓄積
昨日まで姿勢が良かったのに朝起きたらストレートネックや巻き肩になっていたということはありません。これらの状態も長年の姿勢から徐々になっていきます。同時に肩の負担も蓄積の期間はかなり長いと考えられます。四十肩・五十肩を改善させるにも期間が必要になりますし、生活習慣の見直しやセルフケアが必要になります。施術を受けても1回で劇的に改善することはなく、痛みを少しずつ緩和し、肩の可動域も少しずつ広げていくような施術になってきます。
四十肩・五十肩の症状とは
安静時痛
安静時痛とは動かしていないのにじっとしていても痛いということです。肩関節周囲で炎症が起こっているわけですから、ある日突然痛みが起きた時は安静にしていても痛みが出ることが多いです。痛みの場所は前側、横側、後ろ側など人それぞれです。
当院に来院された方でも仰向けでベッドに寝てもらった時にご自身で腕を支えていないと痛くて仰向けで寝れないということもありました。
動作時痛
動かしたときに痛みが出る状態のことをいいます。当然バンザイのようなことは痛くてできなくなり、み、肩の高さまでは腕を上げることができるけど、それ以上は上げれないということがよくあります。この状態になると、日常生活にも影響を及ぼします。
夜間痛
夜間に痛みが増すことがあります。横向きで寝る場合痛い方を下にすると体重で圧迫され痛くなります。仰向けで寝た場合も巻き肩の人は肩が浮く状態になるので腕を下ろすと肩に痛みが出やすくなります。
日中活動しているときは気が紛れていた痛みも寝るときになると気になり痛みが増すことがあります。寝るときになると体温が下がり痛みが増すことがあります。
肩だけではなく腕にまで
肩から肘くらいまでつながっている筋肉もありますので時間の経過とともに肩関節だけではなく腕や肘くらいにまで痛みが及ぶことがあります。
症状のステージ
炎症期
炎症が起こっていて一番痛い時期です。痛みが出てから数週間から長いと数か月続くことがあります。安静時痛、運動時痛、夜間痛などが症状としてあります。この時期は安静にしないといけません。
無理に動かすと火に油を注ぐようなもので炎症が悪化し回復までの時期を長引かせてしまうことがあります。この時期を少しでも短くすることが早期改善のために最も大切です。そのうち治るだろうと放置すると改善まで長引くこともあります。
拘縮期
安静時痛、運動時痛、夜間痛などが和らいでくる時期です。しかし、痛みが治まってきても炎症期が長く安静にしていた期間が長くなると今度は縮こまって固まるということが起こります。固まって腕が上がらない、背中に手が回らない、頭を洗うのが大変などの動作が難しくなります。
今まで安静にしていたため今度はリハビリをしていかないといけません。放置するといつまでたって固まって上げれない状態になります。急に動かすと筋肉が切れることもありますのでほぐしながら少しづつリハビリをしていかないといけません。
回復期
痛みもさらに軽くなり、リハビリをしていれば可動域も少しずつ改善していく時期です。人によっては数か月から1年以上かかることもあります。良くなってきたからといってリハビリをやめてしまうとそれ以上回復しなかったり硬さが戻ることもあります。根気よく続けることが大切です。
炎症期をどう乗り切るか
四十肩・五十肩で痛みが一番強い炎症期を早期にどう乗り切るかで回復期までの期間も変わってきます。この時期で特につらいのが夜間痛です。寝るときに痛みを感じると痛みで眠ることができなく睡眠不足になりまた治りが悪くなるということにつながってしまいます。精神的にも疲れ果ててしまいます。
炎症期の寝姿勢
横向きで寝る場合
痛い方を下にして寝る人はいないと思いますが、当然痛くない方を下にして寝ます。腕をそのままマットレスに置くと腕の重みで肩が引っ張られて痛みが強くなります。その場合抱き枕など置いて腕を置くことで腕の重みが肩にかからなくなります。
仰向けで寝る場合
バスタオルやクッションなどの上に痛い方の腕を置き腕を高くすることで腕の重みで肩にかかる負担を軽減することができます。
冷やすか、温めるか
炎症が起きているときに温めると痛みが増すことがあります。基本的には冷やさないといけません。氷をビニール袋に入れたものやアイスノンなどを患部に当てます。直接あてると凍傷になることもありますのでタオルで包んであててください。1回15分くらいが目安で1日に何回か行うといいでしょう。冷たすぎると感じたらタオルをもう1枚包んでください。
接骨院では
当院に炎症期の痛みでお悩みで来院された方には炎症を鎮める電気施術を行います。炎症を一日でも早く抑えることが関節が固まる進行を抑えることにつながります。
整形外科に行くタイミング
そのうち治るだろうと放置すると回復までの期間が長引いたり可動域が完全に戻らない後遺症のようになることもあります。肩に痛みを感じたらできるだけ早く医師の診断を受ける事が大切です。40代、50代の人が肩が痛い。四十肩・五十肩かな?ということだけではありません。
四十肩・五十肩と思っていたら筋肉が切れてしまう腱板断裂や石灰がたまる石灰沈着性腱板炎や全く違う病気ということもあります。四十肩・五十肩なのか医師に診断してもらうことが大切です。接骨院では診断をすることができません。痛み止めや注射なども整形外科でなければできません。
痛み止めや注射
痛み止め
四十肩・五十肩で整形外科を受診すると痛み止めやシップを処方されます。これは整形外科でないとできませんので痛み止めが必要な人は整形外科を受診しないといけません。痛み止めやシップは炎症を鎮め痛みの緩和を期待できます。
少しでも痛みが緩和されれば夜も寝れるようになったり日中の体力消耗を減らすことができます。しかし、効果には個人差があり胃があれたり、シップでかぶれたりすることもありますのでご相談の上使用してください。
ステロイド注射
ステロイド注射は炎症を抑えるのに一番即効性が期待できます。個人差はありますが中には全然効かないという人もいれば注射を打ったら数時間で痛みが引いたということもあります。しかし、炎症を抑える対処療法で何回も打てるわけでもありません。医師と相談して選ぶことが大切です。
炎症期に気をつけること
炎症期が治まった目安としては何もしていてないのに痛い、夜寝るときに痛みが増すということがなくなれば次のステージに進んでいると思ってもいいでしょう。炎症期を長引かせないために気をつけることをご説明いたします。
痛い事はしない
痛みは身体がそれはやめてくださいという危険信号を出している状態です。動かさないと固まって動かなくなると思い無理に痛みを我慢して動かそうとすると悪化することがあります。腕を上げたり、後ろに回したりなどは特に気をつけ、痛い事はしないようにしましょう。
服を着るとき
四十肩・五十肩の人は服を着るのが大変ということがよくあります。服を着るときは痛くない方から着て後から痛い方をゆっくり着る。脱ぐときは痛い方からゆっくり脱いで後から痛くない方を脱ぐようにしましょう。
痛い方で荷物を持たない
腕の重さでも肩に負担がかかっているのに、さらに荷物を痛い方で持つと悪化することがあります。痛くない方で基本的に持ちましょう。しかし、痛くない方ばかりで持つと両方痛くなったということもありますので重いものは持たないようにしましょう。
炎症期を乗り越えたら
炎症期は安静にしていたのでその期間が長くなると新たな問題が発生します。それは拘縮という肩関節のある関節包、筋肉、腱、靭帯などの組織が硬く縮こまってしまう状態になります。
すると、痛くはないけど肩がここまでしか上がらない、腕が後ろに回せない、腕を動かしたときに痛みからツッパリ感に変わったなどの症状が起こります。この症状は放置するといつまでたっても改善せず後遺症として残ってしまうことがあります。そうならないために今度はほぐして動かすというリハビリを行っていかないといけません。
リハビリ体操
リハビリは接骨院などで施術を受けるだけではなくご自身でも行っていかないといけません。炎症期では痛い事はしないが鉄則でしたがリハビリは痛くない範囲で行っていてもいけません。
リハビリの注意点
縮こまっている肩関節を急に動かすと痛める可能性があります。
- 痛みを我慢しながら行わない
- 自然な呼吸で行える強さで行う
- 痛気持ちいくらいの範囲で行う
- 反動をつけずゆっくり行う
- 風呂上がりに温まっているときに行う
コッドマン体操
リハビリ初期に行う体操です。



痛くない方の手をテーブルやいすの背もたれにつき、前傾姿勢を取ります。痛い方の腕は脱力して下に垂らし腕の重力を感じます。それから、腕を前後左右に振り子のように揺らします。慣れてきたら腕を右回り左回りなどに回します。これを10回1日に何回か行ってください。1度にたくさん行うより10回を1日に何回かに分けて行う方が効果的です。力で動かすのではなく身体の揺れで動かすことを意識しましょう。
壁のぼり体操
自分のペースで可動域を広げることができます。毎日行い前の日より高く上がれるようになれば可動域が改善しているという実感も得ることができます。
正面向き(肩の前側の可動域)


正面向きで30センチくらい離れたところで壁に向かって立ちます。痛い方の手をツッパリ感を感じないところで壁に手をつきます。そこから、指を使って壁をよじ登るように少しづつ上っていきます。登っていくと肩関節が伸びるのを感じ痛気持ちいいところで10秒キープします。下ろすときもゆっくり下ろします。
横向き(肩の横の可動域)
続いて壁に向かって横向きに立ち前向きと同じように行います。
まとめ
肩の痛みを感じたらまずは整形外科を受診した方がいいでしょう。四十肩・五十肩ではない可能性もあり腱板断裂の場合は手術ということもあります。医師の診断を受ける事が改善へのスタート地点になります。診断を受けてから整形外科での治療を続けるか、接骨院にいくかという選択肢になります。
四十肩・五十肩は治ったら終わりではありません。右が治ったと思ったら今度は左がなったということもあります。ストレートネック、巻き肩の人は再発しやすいので姿勢の見直しなどもしていかないといけません。当院では炎症を抑える電気施術とストレートネックや巻き肩の改善も同時に行い、速圧トレーニングによるリハビリも行っています。四十肩・五十肩でお悩みの方はご相談ください。






