夜中に足がつって目が覚める。こむら返りに悩まされる人は少なくありません。痛みがすっと引くこともあれば長時間痛みが続くこともあります。また痙攣が治まっても次の日に痛みが残ることもあります。誰もがなる可能性があるこむら返りその対策とは?
こむら返りとは?
こむら返りは病名ではなく、医学的には有痛性筋痙攣といわれています。実際には筋肉がつっている状態で何かしらの原因で痙攣をおこし収縮して痛みを伴ったまま動かせなくなってしまっている状態です。ふくらはぎは腓(こむら)といわれていたことがあり、ふくらはぎがつるとこむら返りといわれるようになりました。筋肉がつることはふくらはぎが多いですがそれ以外の筋肉もつることはあります。
筋肉がつる状態とは?
筋肉には伸びすぎたり縮みすぎたりしないようにするためセンサーが備わっています。普段は意識しなくてもうまく働いてバランスを取っていますが、何かしらの原因でセンサーが誤作動を起こし暴走している状態がこむら返りです。
ふくらはぎが多いのはなぜ?
心臓から遠い
ふくらはぎは心臓から遠く、血流が悪くなりむくみやすく誘発の原因になります。
負担がかかりやすい
ふくらはぎは抗重力筋といって重力に逆らって姿勢を維持するため無意識のうちに負担がかかりやすい筋肉です。ふくらはぎは歩く時にもよく使われるので疲労しやすく誘発の原因になります。
冷え
冷たい空気は低いところにたまり夏でもクーラーで冷えます。冷えは誘発の原因になります。
就寝中
寝ているときは手足が冷えやすく、あおむけで布団をつま先にかけるとふくらはぎが収縮しやすくなり誘発の原因になります。
筋肉がつる原因とは?
様々な原因が複合して引き起こしていると考えられます。
- 運動のしすぎによる筋肉疲労
- 運動不足による筋力低下
- 加齢による筋力低下
- 水分不足
- 冷え
- ビタミン、ミネラル不足
- カフェインによる脱水
- 喫煙
- アルコールによる脱水
- ストレス
高齢になると起こりやすい原因とは?
こむら返りが頻繁に起こる場合は動脈硬化、病気、薬が原因の事もあるため一度医師の診断を受けた方がいいです。
筋力低下
ふくらはぎは第二の心臓といわれポンプのように働き血液を循環させる働きをしています。筋力が低下するとポンプの働きも弱くなり循環が悪くなります。
疲労の蓄積
筋力が低下すると疲労が蓄積しやすくなります。また回復力も悪くなり原因になります。
こむら返りになったら
伸ばす
ふくらはぎから太ももの裏にかけて伸ばした方がいいです。こむら返りを起こしているときは筋肉が過度に収縮し血管も締め付けられ血流が悪くなっています。伸ばすことで血流が回復し痛みも緩和されていきます。
右がつった場合床に座り右の足は伸ばし左足は曲げます。伸ばした右のつま先を右手で持ちゆっくり手前に引っ張ります。この時息を吐いて左手でふくらはぎをさすりながら行ってください。これを痛みが和らぐまで続けてください。
痛みで飛び起きてあせって急激に伸ばすと筋繊維が切れて肉離れを起こし痙攣が治まっても何日か痛みが残ることがありますので、落ち着いて行ってください。身体が硬くてつま先に手が届かない場合はタオルで引っ張ったり、膝を曲げて行っても効果があります。
リセット伸ばし
つま先を手前に引っ張っても収まらない時は、一度元に戻し、再びゆっくり手前に息を吐きながら引っ張ると治まることがあります。
もみほぐす
伸ばしても収まらない場合はさすったり、軽くもみほぐすことで解消されることがあります。強くもみほぐさないようにしましょう。
こむら返りが治まっても痛みが残る場合
こむら返りは筋肉が過剰に収縮している状態です。痙攣が長引くと急にハードな筋トレをした後のような筋肉痛になることがあります。また1週間たっても痛みが引かない場合は肉離れを起こしている場合もあります。この場合はもんだりストレッチしたりせずシップなどを張って安静にしないといけません。
こむら返りの予防法
筋力アップ
こむら返りになって安静にばかりしていると運動不足になり筋力はどんどん低下していきます。病気などでこむら返りになっている場合を除いては筋トレをして筋力をつけることが大切です。運動習慣がないと下半身の筋力が衰え血流が悪くなります。血流が悪くなるとミネラルバランスも崩れこむら返りにつながります。
ストレッチ
こむら返りによくなる人は太ももの裏、膝裏、ふくらはぎにかけて硬い人が多いです。硬くなった筋肉をストレッチで柔軟にするとこむら返りも起こりにくくなります。
ハムストリングスのストレッチ
ふくらはぎのストレッチ
ウォーキング
運動不足になっている人はウォーキングから始める方がいいでしょう。歩くとふくらはぎがポンプの働きをして、酸素を取り入れて脂肪を燃焼しながら全身の血流を良くすることができます。筋肉は年々衰えていきます。動かさないと更に筋力低下が進みこむら返りが起こりやすくなります。最初は短い距離から少しずつ距離を伸ばしていきましょう。筋肉疲労も原因になりますので前後にストレッチも行いましょう。
運動中も水分補給
ウォーキングを行うとき水分補給もしっかり行いましょう。汗をあまりかいていなくても皮膚から水分が蒸発して、気づかないうちに水分が不足していきます。水分不足もこむら返りの原因の一つで体内の水分が不足すると血流が悪くなり栄養素などがいきわたらなくなります。
予防のためにウォーキングしているのに逆効果になってしまうことがあります。しっかり水分補給をしながら行いましょう。飲み物は緑茶、コーヒー、紅茶などはカフェインが含まれていて利尿作用があり補給しても水分不足になります。運動中であればミネラルも含まれているスポーツドリンクがいいでしょう。
寝ている時のこむら返り対策
寝ているときは一日の疲労の蓄積、足の冷え、寝る姿勢、寝ているときは水分補給ができないため軽い脱水などによってこむら返りが起きやすくあります。
水分補給
夏は寝ている時に汗で水分が抜けていきますが、冬は汗をかかなくても、皮膚や呼吸で300ミリリットルくらいは水分が抜けるといわれています。寝る前にコップ1敗は水分補給をし、トイレで起きた時も補給しましょう。
しかし、これだけでは足りません。1日に補給しないといけない水分は食事を除き1.2リットルは必要になります。1回に吸収される量は決まっていますのでまとめてとっても吸収されずに排出されてしまいます。1日数回に分けて水分補給をしましょう。
ふくらはぎをほぐす
筋肉が硬くなると血流が悪くなります。湯船につかっているときにふくらはぎのマッサージをするといいでしょう。強くもみすぎるともみ返しになるので軽めでほぐしましょう。
温める
冷えは原因になるため湯船につかったり、寝ているときは湯たんぽを使うなど足を冷さないようにしましょう。
ふくらはぎを収縮させない
仰向けで寝た時かかとが支点となりつま先が伸びる状態になります。更にその状態で分厚い布団をつま先にかけるとすねの筋肉は伸張し、ふくらはぎは収縮します。この状態で長時間寝ると、つりやすくなります。この状態を防ぐにはふくらはぎが少し伸びた状態で包帯などで固定すると保温効果もあり予防になります。
弾性ストッキング
デスクワークで座る時間が長い人や立ちっぱなしの仕事や運動不足の人は足のむくみに悩む人が多くいます。むくみは血流が悪くこむら返りにつながることがあります。冷えも原因になるためふくらはぎを覆いつま先が解放された弾性ストッキングがおすすめです。締め付けがきつく感じる場合は寝る前まで装着し寝るときに外した方がいいでしょう。
靴下は?
冷え性で寝つきの悪い人はやめた方がいいでしょう。人間は手足から汗を蒸散させ深部体温を下げ深い眠りに入る仕組みがあるといわれています。つま先を覆う靴下だと体温調節がうまくできず寝つきが悪くなることがあります。つま先を開放しふくらはぎを温めるものがいいでしょう。
寝る前に足を上げる
むくみも原因になる時があります。仰向けで足の下にまくらなどを入れて心臓より高くすると重力でふくらはぎにあった血液を心臓へ帰すことができます。足を高く上げた状態で朝まで寝てしまうと寝返りが打てなかったり膝の裏が痛くなることがあるので寝る前に15分くらい行いましょう。かかと1点だけで支えると短い時間でも痛くなることがあります。
こむら返りを予防する栄養
マグネシウム
こむら返りを予防するには水分だけではなくミネラルも必要です。その中でもマグネシウムを意識した食事が必要です。
マグネシウムを手軽に摂取できる食べ物
- 納豆、豆腐(大豆食品)
- するめ、いわし、かき(魚介類)
- 玄米
- わかめ(海藻)
- ごま
- ナッツ
カルシウム
カルシウムもこむら返りを防ぐのに必要な栄養素です。妊娠中や更年期などの女性はカルシウムが不足してこむら返りになりことがあります。
カルシウムが多い食品
- 牛乳
- ヨーグルト
- 納豆
- ごま
- 小魚
牛乳はカルシウムだけではなく水分補給もできるのでお勧めです。
カリウム
カリウムもこむら返り予防に必要な栄養素です。
- 野菜
- 果物
- 芋
- ナッツ
- 赤身肉
いろいろな食べ物に含まれているので不足することはあまりありませんが意識的にとるならバナナがおすすめです。バナナはカリウムとマグネシウムも豊富で、スポーツするときに摂取しておけば糖質とミネラル同時に摂取でき筋肉疲労によるこむら返りの予防になります。
クエン酸
クエン酸はミネラルを吸収しやすくする働きがありこむら返りになる人は摂取した方がいいでしょう。また疲労回復の効果もありますのでスポーツ時にもおすすめです。
クエン酸の多い食べ物
- 梅干し
- 酢
- レモン
- グレープフルーツ
- イチゴ
- キウイ
水分補給は何がいい?
水分補給にふさわしくないものはカフェインやアルコールが含まれた飲み物です。おすすめは3つありますがそれぞれの特徴を理解し使い分けましょう。
スポーツドリンク
スポーツなどで汗をかいた時にはスポーツドリンクがおすすめです。塩分、ミネラル、クエン酸、糖類も含まれています。汗で失われた水分ミネラルを補給できます。しかし、糖分も結構含まれていますので汗もかいていないのに飲みすぎると糖分の取りすぎになることがあります。
経口補水液
水にミネラル、ブドウ糖を配合し体液と同じ浸透圧になるよう作られています。吸収が早く発汗、下痢、嘔吐などで失われた水分補給におすすめです。スポーツドリンクより糖分は少なくて、塩分が多めなので取りすぎはよくありません。
麦茶
麦茶はカロリー、カフェインもなくミネラルも取れるので水分補給におすすめです。しかし、汗をかいて脱水状態の時には糖分、塩分の補給はできません。また、ミネラルもそれほど多くはないので、日常の水分補給や糖分、塩分を気にしている人は麦茶、汗をかいたり脱水状態の時はスポーツドリンクや経口補水液にするなど使い分ける必要があります。
腰の異常からくるこむら返り
腰と足には密接した関係があり、坐骨神経は腰椎の神経からつながっています。坐骨神経は腰から骨盤の中を通って太ももの裏、膝の裏、ふくらはぎ、足先までつながっている人体最大の神経です。腰で神経が締め付けられると足先までつながっている坐骨神経の影響でこむら返りにつながると考えられています。
筋肉も腰から足までつながっています。腰が悪い人は姿勢や歩き方が悪くなることが多く下半身の筋肉に負担がかかり筋肉疲労や血流不足につながりこむら返りを招くと考えられています。
まとめ
突然起こるこむら返りは、筋肉疲労、水分、ミネラル不足、冷えなどによって引き起こされることが多くあります。こむら返りになってしまった時は落ち着いてご紹介した対処法を行ってください。あまりに頻繁に起こる場合は内科的な病気の場合もありますので一度医師の診断を受けてください。
こむら返りの原因に腰の異常からくる場合や筋肉の柔軟性の低下、血流不足などもあります。当院では全身のバランスを整え、筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することでこむら返りになりにくい身体づくりをサポートできます。また、こむら返りの痙攣は治まったけど痛みが残る場合も対応できます。
こむら返りは予防策をしていけば改善できることも多くあります。しかし、ご紹介した予防策は毎日続けないといけません。こむら返りを繰り返さないためには日頃の生活習慣の見直しや予防策を行い、うまくできない場合や、忙しくて続けられない場合、続けているけど改善しない場合はご相談ください。






