腰痛には急性的なものから慢性的なものまでありますが、悩まされている人は多いのではないでしょうか。腰が痛いと思っていたらいつの間にか治っていたという人もいれば、ぎっくり腰で動けなくなった、動けないことはないけどずっと痛いなど、人間生きていて腰が痛くなったことがないという人は少ないと思います。とくに慢性腰痛の人は多いです。
腰痛とは
文字通り腰が痛いという症状のことをいいます。腰痛は病気ではなく症状を指す言葉です。背中の下の方からお尻くらいに痛みがあれば腰が痛い。背中の上の方が痛ければ背中が痛いということになるでしょう。
腰痛になるとどうなる
精神的な影響
腰が痛くて気分がいい人はいないと思います。痛い事への不安、痛くてよく寝れない、痛くて外に出たくないなど精神的にも影響を与えます。
不安
痛みが長びくと気分が落ち込みます。やる気スイッチが入らない状態になり悩まされます。
睡眠の質の低下
腰の痛みが気になって眠れなくなったり、仰向けで寝ると痛みが出たり、痛みで寝返りが打てないなど睡眠の質が下がります。
活動の制限
歩くと腰が痛いなどの症状があると外に出る機会が減ります。運動量も減り筋力が低下し体重が増えると更に腰痛が悪化します。
腰痛は大きく2種類
他のページでも述べていますが腰痛は原因が特定できる特異的腰痛と特定できない非特異的腰痛に分かれます。非特異的腰痛が8割以上を占め原因がよくわからないため治療法がなく慢性化し悩まされることが多くあります。
しかし、検査して異常がないのに痛い。この状態はストレスや筋肉にあることが多いです。特定の筋肉に毎日負担がかかりつづけると、筋肉が緊張して硬くなっていきます。硬くなると動かしにくくなり、この状態で動かすと痛みを感じるようになります。
姿勢と負担
姿勢と腰痛は大きく関係します。立ち姿勢、座り姿勢、前かがみ姿勢など腰に負担がかかる姿勢は色々ありますがこの3つに中で一番腰に負担がかからないのが立ち姿勢です。これはいい姿勢ができていた場合です。立って前かがみ、座って前かがみになるともっと負担がかかります。
この姿勢は少しの時間行っただけでは大したことなくても一日たちっぱなし、座りっぱなしなどの生活を毎日続けると腰痛につながっていきます。とくに座っている時の方が腰に負担がかかるので、定期的に立ち上がる、前かがみにならないなどの工夫が必要です。
姿勢と筋肉
デスクワークや車の運転が多く1日の中で座っている時間が長い人はパソコンのキーボート、ハンドルを持つときに肩が前に出る巻き肩の状態になります。下半身は股関節と膝を曲げた状態で体重をお尻で支える状態になります。
このような状態を毎日何時間も繰り返すと特定に筋肉に負担がかかり硬くなり腰痛につながっていきます。特定の筋肉にかかる負担を分散させ減らすことができるかがポイントになります。したがって、同じことを続けていたらいつまでも治らずに年々ひどくなっていくこともあるでしょう。
腰痛に対する施術方法
整体
腰の痛みが続いているけどどうすればと思われた人は、整形外科、整体、接骨院などを思い浮かべるのではないでしょうか。非特異的腰痛なのかどうかの診断は整形外科でないとできません。しかし、整形外科では検査で異常がないと痛み止めの処方で終わることが多く、何とかしたい人は整体に行くことが多いでしょう。
整体は医学的根拠はなく効果は明確ではありません。技術だけがものをいいますので経験値が豊富な整体を探す必要があります。しかし、非特異的腰痛でお悩みの人は検討してみてもいいと思います。
先ほど姿勢のお話をしましたが、姿勢が悪く筋肉が硬くなっている人は良い姿勢をしようとしても身体に癖がついているため正しい姿勢を取れないことが多いです。整体は正しい姿勢を取れるように導くものだと思っていただければいいと思います。
運動療法
整体は正しい姿勢に導くだけであって整体だけを受ければ非特異的腰痛が改善するということはほとんどありません。それは正しい姿勢を維持するためには筋力も必要だからです。
ストレッチ、ウォーキング、筋トレこれらを継続していけば慢性的な腰痛は改善する方向へ向かっていきます。中には整体を受けなくても運動療法だけで改善することもあるでしょう。それくらい大切になります。
薬物療法
腰痛で整形外科に行くと痛み止めを処方されると思います。薬物療法は慢性腰痛だけではなくぎっくり腰にも効果があります。ぎっくり腰に対しては炎症が治まるまで薬物療法で乗り切れば腰痛が治ったと感じると思います。しかし、痛みの緩和が目的ではあるため慢性痛の原因が改善されるわけではありませんので効果が切れるとまた痛くなるでしょう。副作用が伴うこともありますので注意が必要です。
物理療法
整形外科や接骨院で腰痛の施術を受けると牽引や電気をすることがあります。これらの物理療法も痛みの緩和が目的であり、その時は楽になるけどすぐ戻るということが多いでしょう。しかし、ぎっくり腰には整体よりも即効性があり、薬物療法や物理療法がいいでしょう。当院ではぎっくり腰には整体ではなく物理療法を行います。
装具療法(コルセット)
コルセットは腰痛で悩まされている人は使用したことがあるのではないでしょうか。中にはお風呂に入る時以外ずっとしているという人もいると思います。コルセットは腰への負担をかけないようにするための一つの方法です。
ただあくまでもサポーターなので助けられている分、筋力が落ちていきます。また、圧迫されているためかぶれたり、血流が悪くなったりすることもあります。
コルセットの使用はぎっくり腰の時や慢性痛でも重たい荷物を持つ、草取りをするなど腰に負担がかかることをする時だけしてそれ以外は、はずした方がいいでしょう。
ポイントとなる筋肉のトレーニング、ストレッチ
ストレッチの注意点
ストレッチは、やり方を間違えると腰痛が悪化することがあります。痛みを感じると無意識に筋肉が収縮して逆効果になります。
- 無理をせず、歯を食いしばるような強さで行わない。
- 呼吸しながら行う。息を止めない。
- 反動をつけずゆっくり伸ばす。
- 毎日継続して行う。
腸腰筋
腰の骨から太ももの骨の前にかけて付着し大腰筋、小腰筋、腸骨筋の3つの筋肉を合わせての腸腰筋といいます。インナーマッスルで、上半身と下半身をつないでいます。
腸腰筋の主な役割
- 骨盤を安定させ背骨がS字カーブを保ち姿勢を維持します。
- 股関節を安定させ、歩くときに脚を前方に持ち上げる働きがあるので衰えるとちょっとした段差で躓きやすくなります。
- 上半身と下半身をつないでいるので、体幹を安定させ身体のバランスを維持します。
腸腰筋が硬くなると
腰の骨が引っ張られ負担がかかり、腰痛につながることがあります。骨盤の前傾、後継に影響し反り腰や猫背になり姿勢が乱れます。
腸腰筋のトレーニング
ニーアップ
椅子に座ったままで腸腰筋を鍛えることができます。腸腰筋は脚を持ち上げる筋肉ですので太ももの上下させる筋トレです。座ったまま行うことができるので仕事の休憩時間や家でもできます。
ニーアップのやり方

背もたれによりかからないように椅子に浅く座り、背筋をまっすぐに伸ばします。両手を腰に当てて、両方の太ももを上にきついと感じるところまで持ち上げます。上げたところで3秒キープします。ゆっくり下ろしてこれを10回3セット行います。
上げた時に腰に痛みを感じたり、きつくて上げることができない場合は片脚づつ行ってください。また、立位で片足ずつ行ってもいいです。足の付け根を意識しながら上半身の姿勢が崩れないように意識しましょう。
腸腰筋のストレッチ
産後骨盤矯正と合わせて妊娠前の体重、体型に戻すためのエクササイズをご紹介!のブログを参照
大腿四頭筋
太ももの前面にあるアウターマッスルで大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の4つの筋肉合わさって大腿四頭筋といいます。この中で大腿直筋だけ骨盤に付着していて太ももをもち上げるときにも使われます。人体で一番大きい筋肉になります。
大腿四頭筋の重要性
- 筋肉が衰えると、体重を支えきれずに膝が曲がりやすくなり膝の痛みや、歩行が不安定になり腰痛につながります。
- 人体で最も大きい筋肉あり、衰えると基礎代謝が低下し太りやすくなります。
- デスクワーク中心の人は硬くなりやすくなります。
大腿四頭筋のトレーニング
レッグエクステンション

仕事の空き時間などでも椅子に座ってできます。背もたれによりかからないように背筋を伸ばし椅子に浅く座ります。股関節と膝関節は90度にします。片脚が床と平行になるまで上げ膝が伸び切ったところで3秒キープします。ゆっくり下ろしてこれを10回繰り返します。続いて反対側の脚を10回同じように行います。これを3セット行います。
大腿四頭筋のストレッチ

床に座り両脚を伸ばした長座の状態になります。片方の膝を曲げ足首を掴み、かかとをお尻に引き寄せます。状態を後ろにそらしながら太ももの前側にストレッチを感じたら、30秒キープします。ストレッチを感じない場合は仰向けで寝るところまで倒します。反対側も同じ様に行います。
大臀筋
お尻にある筋肉で最も大きな筋肉で、股関節の動きや骨盤の安定化、座っているときに上半身の体重を支える働きをしています。歩く、走るなどの動作や上半身と下半身の動きを繋ぐ働きもしています。
大臀筋と腰痛の関係
- 座る時間が長いと大臀筋が硬くなります。すると骨盤の動きが悪くなり、腰の骨に負担がかかり腰痛を引き起こしやすくなります。
- 骨盤の安定性が低下から腰痛や股関節痛にもつながることがあります。
- 大臀筋が衰えると、腰や背中の筋肉に負担がかかり、腰痛の原因になります。
大臀筋トレーニング
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大臀筋のストレッチ
ハムストリングス
太ももの裏のアウターマッスルでお尻の付け根から膝裏まであり、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の3つが合わさってハムストリングスといいます。膝を曲げたり脚を後ろに反らせたりするときに働き、ダッシュなどをすると肉離れを良くする筋肉です。硬くなると腰痛や膝痛の原因になることがあります。
ハムストリングスと腰痛
- ハムストリングスは骨盤に付着しているので、この筋肉が硬くなると骨盤が前傾して腰の骨の負担が増します。
- 骨盤が後傾して猫背になったりすることで腰痛につながります。
- 股関節の動きも硬くなり、代わりに腰に負担がかかるようになります。
ハムストリングスのトレーニング
スタンディングレッグカール

立った状態で膝を曲げるトレーニングなので手軽にハムストリングスを鍛えることができます。また、片足立ちになるので体幹の安定力も身につきます。
スタンディングレッグカールのやり方
足を肩幅程度に広げて立ちます。この時に膝が前に出ないように固定して片方の膝を曲げれるところまで曲げます。これを10回繰り返します。続いて反対側も同じように行います。これを3セット。
ハムストリングスのストレッチ
内転筋
太ももの内側にあり複数の筋肉が合わさっています。主に脚を内側に閉じる働きや、股関節の安定性、骨盤についているため骨盤底筋と連動して骨盤の安定性を保つ働きがあります。
内転筋と腰痛
- 内転筋が衰えて硬くなると、骨盤を支える骨盤底筋や腹横筋にも負担がかかり骨盤が不安定になって腰に負担がかかりやすくなります。
- 特に、座る時間が長い人は内転筋が使われず、筋力低下を起こしやすいです。衰えた分、アウターマッスルに負担がかかり腰痛につながります。
内転筋トレーニング
内転筋ストレッチ

床に座った状態であぐらの姿勢になり両足の裏を合わせます。背筋を伸ばし両膝を外側に開きながら、合わせた両足をできるだけ体幹に近づけます。膝が浮いてしまう場合は両膝を手で押さえてください。その状態で上体をゆっくりと前に倒します。内ももにストレッチを感じたら、20秒キープします。
まとめ
慢性腰痛を改善するためには日常生活で繰り返される動作を見直すことも大切です。体幹のトレーニングも重要ですが、ご紹介した筋肉は骨盤に付着し骨盤の安定にかかわる筋肉です。これらの筋肉がどれかが硬くなったり筋力低下したり、片方だけ緊張したりすると骨盤を引っ張り歪ませ腰痛につながってきます。慢性腰痛を改善するために重要な筋肉なので強化やケアをすることが必要です。






