身体に不調がある人は姿勢が悪い、ストレートネック、猫背、骨盤の歪みなどがあるかもしれません。しかし、足のの大切さはご存じでしょうか?足は靴下をはいたり、靴を履いたりしているので足に痛みがなければ見落とされやすい部位ですが、足は歩いたり、立ったりするときに1番最初に負担がかかる部位です。足部について解説していきます。
足の骨の数
人間の骨の数は約206個あります。この中で足部の骨の数は56個あり全体の4分の1を占めています。これらの骨は靭帯や腱でつながれ、足首や足趾を動かしたりできるようになっています。また、ふくらはぎやすねとつながり二本足で立ったり歩いたりできるようになっています。
足は全体重がかかる
二足歩行をする人間は二本の足で全体重を支えて立たないといけません。更に走ったり歩いたりすると体重だけではなく着地の衝撃も加わるので負担が増加します。そのため負担を軽減するために足には様々な機能が備わっています。
負担を軽減するアーチ構造
多くの骨や筋肉で構成されている足は最下部にあり全身の体重や衝撃に耐えるためアーチ構造があります。足のアーチは内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つあります。このアーチ構造が衝撃を分散させるクッションの働きをしています。
アーチの崩れが不調に
アーチ構造がしっかりできている人は身体に負担がかかりにくくなりますが、アーチ構造が崩れると衝撃を分散されず、その分、身体に負担がかかってきます。
足の不調を抱える人には痛みが出る前にアーチ構造の崩れから始まっていることが多く、足に関心が向かず放置すると偏平足や開張足、指の変形などにつながります。一度痛みが出るとかばおうとして歩き方がおかしくなり、膝や腰などの痛みにつながっていきます。
アーチが崩れる原因
足の筋力低下が原因として多くありますが、運動不足、加齢、体重増加、合わない靴、歩き方の癖なども原因になります。現代人は靴や靴下を履いて生活することがほとんどで足裏や足趾を使うということがほとんどありません。
車での移動や子供も外で遊ぶことも少なくなったことも要因になります。このような事で足部の筋力が低下することによりアーチが崩れていきます。足の異常を早期にケアしていくことが大切です。
足の変化
足の構造が崩れると身体に負担がかかるだけではなく転びやすくなったりします。
開張足
開張足は横アーチが消失した状態で前足部が横に広がります。横アーチが消失すると足の指の付け根に負担がかかり外反母趾や浮指などにつながりやすくなります。指や付け根に痛みが出だすと歩き方も悪くなり膝、股関節、腰に負担がかかるようになります。
偏平足
偏平足は土踏まずがなくなる状態です。土踏まずは衝撃を吸収する働きがありますが、本来踏んではいけない部位が地面につくことで衝撃を逃がせなくなります。バランスも崩れ、姿勢も崩れやすくなります。
浮指
浮指は立った時に足趾が地面についていなく浮いている状態です。指が地面についていないと足の設置面積が少なくなりバランスを崩しやすくなります。足趾が使われないため足部の筋力低下につながり、指が変形しやすくなります。
足のケアが大切
足の指や足裏などが少し痛くなるだけでも歩行に支障が出て日常生活に影響を与えます。足は手と違って靴下や靴などを履いている時間が長く、直接観察することはあまりない部位になります。痛みが出ない限り放置されがちのことが多いのではないでしょうか。
痛みが出始めてから気にするようになり、気づいた時にはアーチが崩れ、指が変形していたということも少なくありません。そのようにならないためにも一番いいのが湯船につかっているときに、指の形や足裏の状態、タコができていないかなどを観察することが大切です。
足はしびれが現れやすい
足は心臓から一番遠く、身体の一番下にあるので血液などの流れが滞りしびれやむくみが現れやすい部位です。また、人体最大の坐骨神経の終着点でもあります。坐骨神経は腰からお尻、太ももふくらはぎから足裏までつながっています。坐骨神経がどこかで障害を受けると足に問題がなくても足にしびれが現れることがあります。
複数が絡み合う不調
足に痛みやしびれが起こる原因は病気が原因の事もありますが、複数の原因が絡み合うことで起こる場合があります。例えば偏平足から始まり縦アーチがなくなるのを放置していたら次第に横アーチがなくなる開張足になり、足の親指が変形する外反母趾につながることがあります。また、坐骨神経痛から始まり、運動不足になり脚の症状を招くことや、足首の硬さから足底腱膜炎につながることもあります。このように複数原因があるため、早期発見しひとつづつ対処していく必要があります。
加齢による変化
最近ちょっとした段差で躓く、バランスを崩しやすいなど年のせいかなと思う人もいるのではないでしょうか。視覚や感覚、関節の可動域、筋力などは年を取ればだれでも低下していくものではありますが、筋力は対策をすることで進行を抑えたり回復することも可能です。とくにお尻、太もも、ふくらはぎ、足部の下半身のの筋力の衰えは転倒につながりやすくなります。
足趾の働き
手の指はよく目にすることが多いですが、足の指を観察することはあまりない人が多く見逃されがちではあります。しかし、足趾は身体にとって重要な働きをしています。足趾が使えていないと様々な影響を与えます。
姿勢を支える
良い姿勢を保つのに意識するところは骨盤や背骨が大事とよく言われます。座り姿勢は骨盤が支えることになるので足趾は関係ありませんが、立ち姿勢は足趾が重要です。足趾を使って立つのと使わずに立つのでは足の設置面積も違い安定感が変わります。
アーチを作る
偏平足や開張足など足のアーチ構造が消失している人は足趾を使えていないことが多く、足趾をうまく使っている人はアーチもしっかりできています。
歩行の推進力
足趾は立っている時だけではなく、歩いているときに地面をけって推進力が生まれます。ぺたぺたという歩き方をしている人は足趾でけることができず転びやすくもなります。
足趾のトレーニング
足趾タオルつかみ
- 椅子に座り両方の足裏全体を床につけます。
- 両足の前にタオルを置きます。
- 床に置いたタオルの上に足を置き足趾でタオルをつかみます。
- つかんだらタオルをかかとを床から放して持ち上げ5秒キープします。
- 続いて反対側も同じように行います。
- これを3セット行います。
足趾タオル綱引き
- 椅子に座り両足全体を床につけます。
- 両足の前にタオルを置きます。
- 置いたタオルの上に両足を置き足趾でタオルをつかみます。
- つかんだ状態で左右で引っ張り合い綱引きをします。
- これ以上引っ張るとタオルをつかめない手前で5秒キープします。
- ゆっくり放して同じように3セット行います。
足趾立ち
- 壁の前にまっすぐ立ちます。
- 両手を壁についてゆっくりかかとを持ち上げます。
- かかとを持ち上げた状態で足趾で体重を支え5秒キープします。
- 今度は5秒かけてゆっくり下ろします。
- これを3セット行います。
足の内返し(親指を開く筋肉)
- 椅子に座り両足全体を床につけます。
- 足の外側を床につけたまま足の外側を床に押し付けるような感じで足裏を内側に向けます。
- この状態で5秒キープします。
- これを3セット行います。
足の外返し(小指を開く筋肉)
- 椅子に座り両足全体を床につけます。
- 足の売り側を床につけたまま足の内側を床に押し付けるような感じで足裏を外側に向けます
- この状態を5秒キープします。
- これを3セット行います。
足首おもりあげ
- 椅子に座り両足全体を床につけます。
- 片方のふくらはぎを反対側の太ももの上にのせ足を組みます。
- ビニール袋に500mlのペットボトルを入れ土踏まずに引っ掛けます。
- 引っかけた足のつま先を天井の方に持ち上げます。
- これを15回行ったら反対側も同じように行います。
- これを3セット
足趾トレにお勧めのグッズ
フロッグハンドというものはご存じでしょうか?カエルの手のようなトレーニンググッズで足趾、足裏、ふくらはぎ、すねなどの筋肉を鍛えるためのグッズです。テレビを見ながら、ベッドで寝ながら、スマホを見ながら、などながら運動で足趾を効率よく鍛えることができます。
類似品もありますが継続するのが一番大切ですのでお好みで選んでもらえればいいと思います。先ほど紹介したトレーニングはうまくできていないと効いてるかわからない、難しいということもあるかもしれません。フロッグハンドは指を入れて曲げ伸ばしするだけなので負荷も変えることができ手軽に行うことができます。
また、道具を使わないトレーニングは集中力が必要ですがフロッグハンドはながら運動ができるので継続しやすいというメリットがあります。
デメリットはお金がかかることや物などで壊れる可能性はゼロではないでしょう。類似品であれば比較的低価格で購入することができます。
フロッグハンドの足趾トレーニング
- フロッグハンドを足趾に挟んだ状態で椅子に座るもしくは床に寝た状態で下肢を伸ばします。
- 下肢を伸ばした状態で指の曲げ伸ばしを行います。
- 初めは5回を目標に行い、慣れてきたら10回、15回と回数を増やしていきます。
- 左右行いこれを3セット行います。
足趾とふくらはぎのトレーニング
- フロッグハンドを足趾に挟んだ状態で椅子に座るもしくは床に寝た状態で下肢を伸ばします。
- 下肢を伸ばした状態で指を曲げて足首を曲げます。
- ゆっくり今度は下肢を伸ばした状態で足首を持ち上げます。(背屈)
- ふくらはぎがストレッチされたところで指も反ります。
- 初めは5回から始め少しずつ回数を増やしていきます。
- 左右行いこれを3セット行います。
足首が硬いと負担がかかる
足首が硬いと立位や歩行時足首が曲がらないため、足首が直角のまま着地して倒して移動する状態になります。すると足裏のアーチに負担がかかり、足のトラブルにつながってしまいます。足首の柔軟性を高めるストレッチをご紹介します。
足首の硬さのチェック
両足をそろえて立ちその姿勢からかかとが浮かないようにしゃがんでみます。しゃがめなかったり、かかとが浮いてしまう人は足首が硬い状態になります。
足首の柔軟性を高めるストレッチ
すねのストレッチ
椅子で行う方法
- 椅子に浅く座り片方の脚を後ろに引きます。
- 引いた方の足の甲を床につけます。
- その状態から体重をかけます。
- すねにストレッチを感じたら30秒キープします。
- 続いて反対側も同じように行います。
床で行う方法
- 床の上で正座になります。
- 正座ですねにストレッチを感じたら30秒キープします。
- 感じない人は正座から体を後ろに倒し手をつきます。
- ストレッチを感じたところで30秒キープします。
アキレス腱のストレッチ
- 床に正座をします。
- 片方の膝を立てかかとをお尻の方に近づけます。
- 両手を重ねた状態で建てた膝の上に置きます。
- この状態か重ねた手に体重をかけながらかかとが浮かないようにしながら前にゆっくり倒します。
- アキレス腱にストレッチを感じたら30秒キープします。
立位歩行姿勢は足趾から
足趾が使えていないとバランスが崩れて骨盤が後傾し、猫背や膝が曲がった姿勢を引き起こします。立位の時は足部が土台となるため、足趾を鍛えることにより重心が安定し、ほかの筋肉への負担が軽減されていきます。
足趾を鍛えると歩行も変わります。足趾が使えていない歩き方のぺたぺたとした歩き方は躓きやすく、バランスも安定しません。足趾が使えると歩行の推進力や歩幅、歩行姿勢にも変化が出てきます。
まとめ
足趾は日頃あまり意識されない部位なので見落とされることがよくあります。見落とされるので気づかず不調につながることがあります。湯船につかる時が一番足趾に振れやすく、観察もしやすいので湯船では足趾を見るということを習慣化するといいでしょう。
足趾のトレーニングを紹介いたしましたが初めからすべて行う必要はありません。がんばりすぎると続かなくなってしまいますので続けられることから始めてください。
人間の身体は3か月でいれ変わるといわれています。まずは三か月これなら続けられるというものを選んでください。慣れてきたら少しずつ続けていけばいいです。
腕や脚のトレーニングと違い足趾は鍛えても変化が出にくいですが、体感としてバランスが安定した、歩くのが楽になったなどの効果を感じれば変化が出ているということです。






